ギブソンのレギュラーラインでも最も主力にして定番のモデルであるレスポール・スタンダード。
基本的にはクラシカルなルックスを踏襲しつつも、『その年代に即した今のレスポール・スタンダード』というモデルを生産しており、年度によって細かく仕様が変わってきます。
そんなレスポール・スタンダードの中でも群を抜いた評価を得た名器、極めて高い評価を得た2002年~2007年まで生産されていた50s/60s Les Paul Standardについて解説します。
■仕様
Body Top:AA Flame Maple
Body back:Mahogany
Neck : Mahogany
Neck Profile:Fat 50s or Slim 60s
Fingerboard : Rosewood
Radius : 305mm(12inch)
Scale:628.65mm(24.75)
Pickup : Burstbucker Pro
Bridge/Tailpiece:Nashville Stopbar
Hardware:Nickel
■中古市場相場
¥220,000-~¥260,000-
■モデル特徴、データにない仕様や従来モデルとの違い・変更点
2001年までのLes Paul Standardとはかなり仕様が大きく変更されていて、現行スタイルのレスポールスタンダードとしてはかなりトラディショナルなスタイルを踏襲しています。
もっともわかりやすいポイントとしてはマシンヘッド、ペグの仕様が大きく変わっています。
ペグがKlusonGibson Deluxe Klusonに変更、ペグボタンは透明度の低いグリーン系を採用。
また従来の六角ナットタイプからブッシュタイプに変更。
その他、本体のコントロールノブはスピードノブからハットノブに変更。
上記のようなマイナーチェンジが施されたことで、かなりヴィンテージのレスポールにルックスを再現したということもあって今までのレスポール・スタンダードの中でもトップクラスの評価を得ています。
■当時の時代背景と、次のレスポール・スタンダード『Gibson Les Paul Standard 08』
当時は山野楽器がGIBSONの代理店としてレスポールなどのギブソン製品の国内流通を担っていました。
またFender USA製品の代理店も行っていたため、当時のLM楽器業界を背負った楽器店兼代理店であったといっても過言ではありません。
そしてギブソンのメインストリームであるレスポール・スタンダードですが、この50s/60sが山野楽器代理店期の最終モデルとなりました。
Gibson社はその後2007年6月にGIBSON GUITAR CORPORATION JAPANを設立、日本流通を直接行うこととなります。
そういった歴史的に大きな動きがあった翌年、50s/60sに変わって新たに生み出されたのが、Les Paul Standard 2008でした。
50s/60s Les Paul Standardとはコンセプトが全くの真逆であり、冒頭に記載した『その年代に即した今のレスポール・スタンダード』をまさに体現する仕様でした。
一言でいうならばクラシカルな王道ヴィンテージ路線ではなく完全なモダン仕様であり、グローバー製ロックペグ、チャンバード構造、非対称ネックなどの仕様でした。
また軒並み楽器店での店頭販売価格も上がりました。
当時も『レスポールは重い』というイメージが強く、より軽量化して演奏性を高めるというコンセプトはあったかと思いますが、今までのギブソンファンにとってこのモダンな仕様は受け入れがたく、『山野楽器時代が良かった』というようなイメージが根付いた一因にもなったのではないかと思います。
そういった歴史的背景もあり、山野楽器最終期である50s/60s Les Paul Standardにはより一層評価が集まり、いまだ根強い人気を誇っているのです。